ISDNについて(1)

 光回線中心の御時世ですから、「え?何それ?ISDNって…」という反応もありそうです。
 昔は高速回線だと言われた時代もあったのです。(遠い目)

 ISDNとは、Integrated Services Digital Networkの略です。「デジタル」というだけで新しさを感じられた時代でした。1990年代前半のお話です。
 当時は、インターネット接続を行うためには、モデムを使ってアナログ回線に接続して使うか、ISDNで接続するかのほぼ二択でした。(デジタル携帯電話を使って接続することも出来ましたが、当時は通信料が高くて一般的ではありませんでした)

 ISDNによって、音声もデータもFAXも関係なく、全てデータとして通信網内を流すことが実現しました。「デジタルネットワーク」ですからね。

 ISDNの(当時の)メリットは「速い」に尽きました。過去形なのは、現在ではあり得ないほど遅いですが、当時は速かったのでそのあたりは御理解下さい。当時のアナログモデムは14.4kbps~33.6kbpsが主流でした。後に56kbpsのモデムも販売されていましたが、実行速度はそこまで出ていなかったと記憶しています。

 「速い」と言いましても64kbpsですから、現在からすると論外な速度ではあります。このISDN回線ですが、当時画期的だったのは「1本の回線で2回線分使える」という点でした。電話番号を2つ振ることも可能でした。
 当時の表現では2B+Dと表現されていて、Bは64kbpsの論理回線で、Dは16kbpsのパケット通信用論理回線でした。この2Bの分で2回線分使用出来ました。そのため、家族2人が別の相手に同時に電話出来たり、電話しながらインターネット接続やパソコン通信が出来ました。通信中にキャッチホンが入ると通信が切れてしまったという当時の記憶があります。「家庭内での音声通話とデータ通信の同時利用」が実現したのも、ISDNが開始されてからでした。

 ISDN登場までは、1本の回線で1つの相手先に接続するというのが当たり前でした。ISDNの登場で論理回線という概念が一般に認識されるようになりました。
 「1本の回線上に複数の論理回線が存在する」と聞くと、何か連想しませんか?VPNです。VPNも1本の物理回線上に複数の論理回線が仮想専用線として存在します。最近の技術でもレガシーな技術を土台にしている事例の一つでもあります。

 実際にISDNを使用する際に必要となる機器ですが、アナログ回線の場合と少々異なります。NTTから引かれた回線にDSUとTAという機器を接続する必要がありました。
 DSUとは、Digital Service Unit の略で、回線終端装置と呼ばれます。現在、「回線終端装置」と言うと、ONU(Optical Network Unit)のことを指すことが多いです。正確には「光回線終端装置」ですが、現状はほとんど光回線だということで、「光」を外して「回線終端装置」と慣用的に呼んでいる場合も多いです。
 アナログ電話やG3 FAX(一般的に使われるFAX機を指します)やPC等を接続するために、TA(Terminal Adapter)をこれらの機器とDSUの間に接続しました。従来のアナログ機器等はそのまま接続出来ないので、ISDN回線に接続するための変換用アダプタと考えて下さい。

 当時は高速だとされていたISDNもADSLの登場で下火になりました。使用周波数の問題で両者が共存出来ない、局舎と利用者宅の回線長の問題等の制約事項・問題点が存在したことも衰退の要因となりました。最近ではIP化移行の影響もあり、サービスを維持しづらくなってきました。
 このような状況でISDN利用者も少なくなってきたこともあり、2024年初頭に廃止するというNTT東西からアナウンスがありました。(参考:総務省からのお知らせ 総務省からのお知らせ

 家庭での利用者はほぼいなくなりましたが、法人利用はそれなりに残っているようです。そのため、廃止される予定の2024年まで対策を打つ必要があります。その点に関しては、別記事として取り上げる予定です。少々お待ち下さい。
ISDNについて(1)

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